大学院社会福祉学研究科

社会福祉学研究科長挨拶
ウエルビーイング、ウエルフェア、ウエルネスといったことばが領域を超えて注目を集めるようになりました。成長と発展だけではない視点で人と世界を展望することも求められる今だからこそ、これらの概念にわたしたちの手が伸びるのでしょう。立正大学大学院社会福祉学研究科が基盤とする社会福祉学や教育学は、人間のLIFE(生活/人生/生命)と社会に直接的にかかわり、そこに希望を託しながら探求を進める学問領域です。本研究科では、そうした土台の上で現代的な課題に取り組む研究を積み上げようとする研究者・実践者の養成に力を入れています。
大学院は「学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥を究め、または高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする」と位置付けられるものです(「学校教育法」第99条)。あらゆる研究が文化や社会への寄与を期待されているのは自明ですが、なかでも社会福祉学研究科では、福祉・教育・医療・保健などの分野で現に活躍されている方々が実践を省察し、それぞれのフィールドに還元する研究を展開することを後押ししたいと考えています。その往還と蓄積は、わたしたちの社会全体のウエルビーイングを高めることにつながるでしょう。

社会福祉学研究科は2000年4月に社会福祉学専攻修士課程を、2008年度には博士後期課程を設置して以来、125名をこえる修士課程修了者と4名の博士後期課程修了者を輩出しました。修了者はそれぞれの実践現場で指導的な役割を果たすと同時に、大学・短期大学・専門学校の専任教員や行政機関等における有用な人材として活躍しています。各分野で仕事を継続する社会人を大事にしたいという観点から、授業は平日18時10分、土曜日12時50分より開講するとともに、オンライン授業化を積極的に進めています。
また、首都圏に1980年に設立された福祉系大学院の団体である社会福祉専攻課程協議会(現在、13大学院)にも参加し、委託聴講制度により他大学院での講義も受講可能です。大学間の学術的提携・交流は、研究の促進・深化をもたらすことに役立つはずです。
大学院という空間での研鑽とそこで得られるネットワークは、何より自分自身のLIFEを豊かにするでしょう。努力が研究成果として実り、社会に貢献できる喜びもかけがえがありません。多くのみなさんがこのプロセスに参画してくださることを期待しています。
教育・研究の特色
社会福祉学研究科では、福祉に関する高度で幅広い専門知識と技術、能力を確実に身につけることを目的としています。現代社会の構造や特徴を理解し、人間とその生活や発達を本質的に捉える広い視野、そして共感する心を有する豊かな人間性(福祉マインド)、近未来へのパースペクティブとを併せ持った人材の養成を目指します。
「理論と実践の統合化」を教育目標に捉え、体系的に社会福祉学研究の知識の深化を図るとともに、実践的活動とのつながりを強化した教育に力を入れています。
カリキュラムの特色
修士課程では、昼夜開講制で、学部教育を基礎とした高度の専門教育を行い、ゼミナール群8単位、「基礎共通領域群」「理論領域群」「実践領域群」からなる研究特論群から22単位以上(必修科目を含む)を履修した上で、修士論文を作成します。
授業は、すべてセメスター制(2単位)で開講されており、研究の視野を広げることに役立てます。
博士後期課程では、修士課程同様に、昼夜開講制です。高度な専門的・実践的研究者に「博士(社会福祉学)」の学位が授与されます。「研究指導(1~3年次・通年開講)」を核に、「社会福祉領域」「仏教福祉領域」「人間福祉領域」の3領域に11科目の特殊講義があります。博士後期課程の科目もセメスター制(2単位)で開講され、12単位以上を履修します。
研究指導体制
修士課程では、各自の研究テーマと研究計画に基づいて、入学に際して、福祉研究ゼミナール群を担当する教員の中から指導教員1名を届け出て決定します(次年度、変更も可)。
博士後期課程では、研究指導は主任指導教員(主査)が行い、副指導教員(副査)が連携して指導を行っています。
修士課程、博士後期課程共に、指導の偏りのない集団指導体制をとっており、研究成果に活かせるよう配慮しています。
また、昼夜開講制、長期履修制度(修士課程:最長4年間、博士後期課程:最長6年間)があることから、福祉職従事者や教育関係者といった社会人を対象としたリカレント教育と学位取得のための機会を提供しています。研究意欲を持つ外国人留学生も積極的に受け入れています。